皿さら洗あらひ
せざりし台だいは
山やまとなり
嫁よめを窺うかがひ
束た子わしぞ握にぎる


現代語訳

皿洗いをしないまま、流し台の上には皿が山積みになり、
妻の様子をうかがいながら、私はたわしを握っている。


ことばがき

家事の種類はさまざまですが、皿洗いはかなり楽しいほうです。視覚・聴覚・触覚がすべて使われるからだという話を聞いたことがあります。妻は私よりも熱心に家事をしてくれるので、私はせめて皿洗いぐらいはしっかりやらなければなりません。


勉強・雑談

  • せざりし台:「せざりし」はサ変の動詞「す」、打消しの助動詞「ず」、過去の助動詞「き」の組み合はせです。
    • (1)「す」は「せ」になります(【せ未然/し連用/す終止/す連体る/す已然れ/せ命令よ】)。次の「ず」が未然形に接続するからです。
    • (2)「ず」は「ざり」と活用します。次の「き」が連用形に付くからです。そして助動詞が付くからこれは補助活用だそうです。難しい。
    • (3)「き」は「し」に変わります。次の「台」を修飾するため、連体形になるからです。
    • いや、現代語では単なる「しなかった」なのに、とても複雑! ところが、この歌の状況を表現するのにこれが適切な文法なのかどうか、自信がありません。
  • 束子ぞ握る:これもまた、「つまらない」係り結びになってしまいました。(参照)「ぞ」を格好よく使うためには、連体形が終止形とは違う動詞を選ばなければなりません。